曲がった腰がまっすぐになる?
脊柱管狭窄症で「曲がった腰」は元に戻る?
特に、ご高齢の方に多いのですが、脊柱管狭窄症を長く患っているうちに腰が大きく「く」の字に曲がってしまう方がいらっしゃいます。
そのような方から、
「治療をすると、曲がった腰がまっすぐになりますか?」
とご質問を受けることがあるのですが、私はこうお答えします。
「おそらく今よりは、まっすぐになります」
その理由は、こうです。脊柱管狭窄症の痛みをやわらげるには、どうしても「前かがみの姿勢」をとることが習慣となります。その姿勢で体の重心をとろうとした結果、腰が曲がってしまったからです。
つまり、腰に問題があるから、腰が曲がったわけではないのです。
そして、ここが大切なのですが、腰が曲がる場合、ほぼ間違いなく股関節が硬くなっています。
股関節がやわらかく可動域が広ければ、一時的に前かがみになったとしても、姿勢を戻せば、またすぐ元の位置に重心を戻すことができます。
しかし、股関節が硬くて可動域が狭いと、人間の体は前後方向のバランスを取るために、腰を丸くせざるを得ないのです。継続してこの姿勢をとることで、筋肉が硬直し、背中が丸くなってしまうというわけです。
しかも、ご高齢の方の場合、どうしても老化で上半身を支える筋肉の力が弱まっていますから、なおさら背中から腰が曲がりやすいのです。
冒頭の話に戻りますが、以前、私が担当していた80代の患者さんに、治療するたびに、周囲の人から「背が伸びた」と言われたというエピソードを語ってくれた方がいらっしゃいました。
このとき、私はどんな治療をしたか。この方の体をよく調べると、股関節が硬く位置もズレていました。そのため、腰を大きく曲げないと、立ったり歩いたりするときに、重心がうまくとれずにいることがわかったのです。
腰の曲がりは、血流障害からの回復を阻害しますので、これも治療していく必要があります。
そこで、仙骨位置の修正体操を指導し、「こだわりホットパック」を使って、股関節のあたりを温めていただきました。
すると、痛みがやわらぐと同時に、腰の曲がりも徐々にまっすぐになっていったというわけです。
狭窄症で「曲がった腰」は元に戻るか
- 狭窄症で腰が曲がっているのは、股関節の硬さに原因がある
- 仙骨位置の修正体操を行ない、股関節周辺を温めることで、前かがみになった重心を元に戻すことができる
- その結果、曲がっていた腰は以前よりも、まっすぐになる
